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2025/04/24 21:15

私どもの手掛ける袈裟や衣は、途中で無駄な結び目を一切作りません。仏法が澱みなく流れ、途中で途絶えることのないように。

もし糸が足りなくなった時は、新たな糸を紡ぎ合わせ、1本の糸にして縫い進めます。まさに師から弟子へと繋がる法脈のように。

まだ仕事を覚えたばかりの頃は、糸を紡ぐことがどうしても上手く出来なくて、その回数を減らそうと、とにかく長い糸で縫おうとしていました。無駄に長い糸は見事に絡まり、時間ばかりがどんどん過ぎて行く。

黙って様子を見ていた父に、
「そんなんを〈あほの長糸〉言うんや」と、
笑われたことをよく覚えています。

受け継いだ仕事も、そして生命も、そんな風に代々繋いできたもの。あほの長糸にならぬよう、私の人生も斯く潔くありたいものです。